皆さんは、
1950年代にカナダの精神科医、
エリック・バーン氏により創始された
「TA交流分析」という分野の心理学をご存知ですか?

(アドラー心理学のようにメジャーなものでは
ないので、知らない方がほとんどですよね。)

どんな心理学なのか?概要を簡単に説明すると、

人格と個人の成長と変化において、
人が子供から大人になる過程で、
どのようなことが人の人格形成に
影響を及ぼしているのかを体系化したもの

です。

(きになる方は、Wikipedia見てみてください。
めちゃくちゃ難しく書いてあります笑)

この心理学では、人が成長過程でどんな影響を受け、どんな人格を形成し、大人になった今でもどんなものを強く受け継いでいるのか…

そういったことを分析することができる心理学です。

どのように人々が行動し周囲の人達と関わっていくのか、その行動パターンの基礎を、大きく3つ

「親」「大人」「子供」

といった要素に分けており、それぞれ段階を経て
幼少期に育成者より吸収していきます。

専用の診断を受けていただくことにより、
その人のもともと持つ人格が、

保護の心やルールを重んじる親的な要素が強いのか」

冷静や客観性を備えた大人的な要素が強いのか」

無邪気さや協調性といった子供的な要素が強いのか」

その傾向と度合いを調べることができます。

(現在こちらの診断を、
初回の無料相談で受けていただくことができます。
現在のストレスの度合いも分かる診断なので、
興味のある方は是非申し込んでみてくださいね。)

以前別記事にて解説をさせていただきました、
「禁止令」「ドライバー」もこの心理学にて
定義づけられたものでして、

私の心理学講座でもこの「TA交流分析」の
概念を大きく取り入れています。

あなたを突き動かす「ドライバー」

「〇〇してはいけない」13の禁止令

さて、前置きが長くなってしまいましたが…
本日は、そのTA交流分析の中で定義付けられた
「心のゲーム」についてご紹介をします。

満たされない気持ちを他者に埋めてもらおうとし、
試すような行動をしたり駆け引きをしたり…

そういった言動のパターンを
TA交流分析創始者のエリック・バーン博士は
「心のゲーム」と名付けました。

人間関係を壊す「心のゲーム」とは

突然ですが、パートナーや家族など、
近しい間柄の人に対して、あなたは
こんな言動を取ってしまったことはありますか?

相手の自分に対する気持ちが知りたくて
相手を試すような行動をとる。

自分の心の中で不満を募らせ、
それを相手に感情的にぶつけてしまう。

自分の気持ちを相手に押し付けてしまう。

相手に自分を受け入れて欲しくて
相手に無茶な要求をしてしまう。

相手に自分を認めてもらいたくて、
必要とされたくて、尽くしすぎてしまう。

感情のコントロールができなくなり、
近しい間柄の人の前で泣きわめいたり
激しく怒りを表したりしてしまう。

悔しい、虚しい、寂しい、惨め…
そんなネガティブな感情を抱えている時、
その苦しい状態を他者になんとかしてもらおうとし、
人間はこのようなことをしてしまうリスクがあります。

「本当は相手に〇〇してもらいたい」という気持ちを
上手く伝えることができず、精神的、ひどくなると
肉体的なダメージを相手に与えるようなやり方で
相手と関わるようになってしまう状態を
「心のゲーム」と呼んでいます。

ゲームは仕掛ける人と、巻き込まれる人がいます。
その二人が組み合わさってしまうと、お互い
気づかないままゲームをしている、ということがよくあります。

インナーチャイルドがある方は、自然とゲームを
してしまう確率も高くなってしまいます。

ゲーム以外の方法で他者と健全に関われる方法を
知らないままで生きてきてしまったので、

傷つきながら、間違った方法だと認識しながら
それでも同じ方法を何度も繰り返してしまい、
そうしていくうちに自分もその大切な人も傷つけ
お互いボロボロにしていってしまいます。

ゲーム内の役割分担

先程、ゲームでは「仕掛ける人」と「巻き込まれる人」の
両方がいるとお話ししました。

人がゲームを起こしてしまうとき、
巻き込まれてしまうとき、
どちらもそれぞれ役割を持つようになります。
その5種類の役割についてご紹介します。

1.レスキュアー(救済者)

相手に同情したり、助けすぎる傾向があります。
自分より相手を優先したり、
誰かに必要とされたいがため、誰かの役に立とうとします。

他人に優しくしすぎたり、世話をしすぎたり、
他人を過剰に心配するようになりますが、
その反面他人を信用できません。

2.ヴィクティム(犠牲者)

相手に対して必要以上に萎縮して
自分を責める傾向があります。

他人に対して緊張すると「すみません、ごめんなさい」
といった言葉が出やすくなり、失敗を恐れ、
なかなかチャレンジできません。

自己犠牲的な考え方になりやすいので、
自分を責めすぎたり自分の欠点ばかり見るようになり、
他人に同情を求めすぎ、頼ってばかりになります。

3.パーセクター(迫害者)

相手に対して強い態度を取り、相手を責める傾向があります。

他人のミスを許せず、人間関係でイライラすることが多く
勝ち負けにこだわり勝とうとするタイプです。

他人から尊敬されたい気持ちがあるので、他人から侮辱されると
見返してやりたい気持ちを強く持ちやすいです。

他人の欠点を見つけやすく、優越感を持とうとします。

4.スーク&イグノアー(不機嫌・無視)

こちらは言葉の通り、人間関係でトラブルが起きると
不機嫌になりふてくされた態度をとる傾向があります。

その時の気分や雰囲気で行動したり、
何かを計画しても途中で気が変わってしまったり…
そんな気分屋な面を持つので、

約束しても急にキャンセルしたくなったり
イライラした気分をうまくコントロールできなかったりします。

5.ロンリー(さみしがりや)

このタイプは何かトラブルがあったとき、
人間関係から逃避したくなる傾向があります。

楽しそうな人を見ると孤独を感じたり、
自分が何のために生きているのか不安を感じやすくなります。

心から信頼できる人がいるとは思えず、
人と人の絆は弱いものと信じているので、
人間関係を構築することが苦手です。

孤独を恐れ、不安を感じやすいのですが、
その反面人が苦手と感じることもよくあります。

ゲームのメリット、デメリット

良くないとわかっていても、
どうして繰り返してしまうのでしょう?
勿論それにはメリットがあるからです。

ではその、心のゲームをしてしまう
10のメリットとデメリットについてご紹介します。

10のメリット

1.例え不快感を感じても、寂しさを一瞬忘れることができる。

2.悔しい、惨め、虚しいなどのマイナスな感情が沸き起こることで強いエネルギーを感じさせてくれる。

3.幸福なことを体験することで生きている喜びを感じることができていない時は、例え嫌な気分になったとしても人との接触を持つことができる。

4.ゲームをした後に人間関係の見直しができる。

5.ゲームを行う同士が、他者との間に無意識的に強い関わりを感じることができる。

6.ゲームの後に許しあうことでお互いの絆を強化することができる。

7.自分を許し、認めてくれる相手であるかどうか判断することができる。

8.育ててくれた人以外に、自分に強いエネルギーを持って関わろうとしてくれる他人を見つけることができる。

9.ゲームに勝った場合には、自分が正しいことを証明することができる。

10.ゲームに勝てると、相手のとの力関係が明らかになる。

10のデメリット

1.人間関係のトラブルの原因になりやすい。

2.不満感や理不尽な怒りが消えてなくならない。重症化すると法律に触れるようなことに進展しかねない。

3.何度もゲームの場面を思い返すことにより嫌な気分を再体験してしまう。そのことでますます憂鬱になる。重症化すると精神的ストレスから疾患を引き起こす要因になる可能性もある。

4.陰口や噂話の原因になりやすい。若年層でこれが重症化するといじめの深刻化が進む。

5.ゲームによりストレスを感じやすく、他のことへの集中が困難になる。

6.ゲームにより疲労困憊しやすい。

7.ゲームを仕掛ける、巻き込まれることを癖にしてしまう。

8.ゲームをすることで人と関わるようになってしまうと、周囲からは見放されたりあきられて、いずれ孤独になってしまう。

9.ゲームで相手との絆や関係を再確認するようなクセがついてしまう。

10.ゲームをしないと人間関係の強いつながりを得ることができなくなる。

ゲームの深刻度・幼少期からの変遷とは

0歳〜9歳頃の幼少期に、
精神的に成熟していない育成者のもとで育つと
子供は自分の家庭環境と他の子供の環境の違いを
比較できるようになるまでに時間がかかるので、
育成者の価値観の影響をダイレクトに受けて育ちます。

考え方、感じ方、振る舞い方など
育成者をモデルとして無意識にコピーをしていきます。

そして、10歳頃〜成人までの思春期を迎えると、
多感な時期に色んなことを吸収し、
次第に価値観が出来上がり始めます。

この頃には、自分の環境と他の子供との
環境の違いに違和感を持つようになり、
親を反面教師として見る部分ができてきます。

ですがこの時期はまだ、
精神的、経済的に自立することができません。
矛盾や理不尽さを感じながら、
育成者のもと生きていかなくてはならず
飛行や家出など、反抗心を持つこともあります。
しかしその反面、反抗心を表面化せずすべて内に隠し、
「大人しい、いい子」として生きていく子もいます。

20歳以降の成年期になると、
育成者から離れて進学したり、
仕事をして「個」で行動することが増えます。

この時期以降からインナーチャイルドは固定化され、
社会活動の様々な場面で「上手くいかない」ことに
違和感を持ち始めるようになります。

ですが表面的な解決法、
例えば人間関係や職場、所属するコミュニティを変えることで
問題が解決したような錯覚を覚えるので根本的な解決ができず、
よりインナーチャイルドを強化していってしまいます。

そうして上手いコミュニケーションの取り方、
人との適切な距離感の持ち方を身につけられず、

「本当は相手に〇〇して欲しい」という気持ちを
上手く伝えることができず、ゲームを仕掛けるようになったり
巻き込まれるようになっていきます。

ゲームには深刻度があります。

第一レベルなら、まだゲームが終わった後に
お互い振り返ることができ、反省したり謝罪をしたり、
改善できる余地を残しています。

第二レベルになると、相手との関係性を壊したり、
周囲の人間関係を壊し断絶するというリスクがあります。

そして第三レベルまでいってしまうと、
法律に触れるような出来事になったり、どちらかあるいは両方が
重い病気や怪我、命の危険にまで進展しまう可能性が出てきます。

第一レベルなら修復が可能です。
その段階で、この人間関係の歪みのクセに気づくことが大切です。

ハリネズミのジレンマ

「心のゲーム」の特徴、そしてそのメリットやデメリット
長くなりましたがいかがでしたでしょうか?

もし心当たりがある!とドキッとした方は、
自分を見つめ直すタイミングです。

この問題をそのまま放置し続けてしまうと、
ハリネズミのジレンマのように、ネズミ同士はもっと
仲良くしたいのに近づくとお互いを傷つけ合ってしまい、
苦しみながら関わり続ける…

という不健全な関係性から抜け出せなくなります。

ですがあなたが変わることで、
相手に針を向けないで済むようになります。
そしてその姿勢を見て、
相手のハリネズミは少しずつ変わっていけるのです。

まずはあなたのインナーチャイルドに向き合ってみましょう。